今更だけど『WHITE ALBUM2』をプレイした感想・批評
最初は未プレイの方向けのネタバレなしのレビューで内容には極力触れていません。途中からネタバレありの物語の感想です。
最初の印象とその後
僕がこのゲームをプレイする前のwhite album2の印象は、エロゲーマーなら誰もが知っている超有名作品で、確かに名作ではあるけども信者によって評価が持ち上げられすぎているゲームという印象がありました。(実際エロゲ批評空間では異様な点数になっている)
正直あまり興味があったわけでもないのですが、今までのすべての物語が収録されている「WHITE ALBUM2 EXTENDED EDITION」が2018年に発売されていたと知りまして「名作って言われてるしやってみるか」という気持ちでプレイしました。
クリアー後の感想としてはクソ名作でしたねぇ!信者になっちゃう^~
結構マジで面白かったです。主人公が自分の彼女をほったらかしにして別の女の子を攻略してしまう場面は心臓が痛くなるし、それが徐々に周りの友人たちによって少しずつばれていく恐怖が、たまらなく胃に悪かったです。(誉め言葉)
あとはキャラクター同士の掛け合いの面白さや、会話の裏に隠された感情が非常に丁寧に描かれていて飽きが来なく、非常に長くややこしいストーリーをよくまとめていたと思います。
ただ非常に面白いながらもエロゲ慣れしていない初心者の方には、オススメできない作品だとも思いました。
理由としては単純で、「長すぎるから」です。
真面目にボイス全部聞いてやっていたら、本編のプレイ時間は60時間は超えてくると思います。
ex editionのミニドラマやアフターストーリーも非常に膨大でこちらもすべてを網羅しようとすると10時間は余裕で超えてくるほどで、エロゲ慣れしていなければ途中で投げ出してしまう可能性が非常に高いと思います。
本作の特徴
胃が痛くなる
white album 2といえばまずこれでしょう。さっきも言ったようにプレイ中は非常に胃がムカムカしてきます。
なぜムカムカするのかといいますと、非常に主人公やヒロインに対して感情移入がしやすいからだと思います。
登場人物は基本的に「優しい人」として書かれているだけあって悪意のある行動をすることがないのですが、優しさゆえにお互いがすれ違い傷つく描写は悪意による傷よりも心にしみこんできます。
言葉にするのは非常に難しいので、とりあえずやればわかると思います。(投げやり)
曲が素晴らしい
wa2では非常にたくさんの曲が登場します。ゲームのOP,EDはもちろんですが、作中の登場人物が演奏する曲がほとんどでもあります。
僕が好きな曲は「white album」でアコギとピアノの落ち着いた曲調が歌詞とうまくマッチしていて聞き飽きない、素晴らしいアレンジだと思います。
大恋愛ゲームもしくは成長物語
wa2は主人公の人生を書いたゲームという感想をどっかで見たのですが、僕は人生と言うよりは主人公とヒロインが関わっていく中で、周りの人の影響を受けながらも高校、大学、社会人と、人と社会のかかわりを学んでいく成長物語だと思いました。
システム面
基本的な機能は全部そろっていて、特にストレスを感じることなくプレイすることができました。
長いシナリオなのでそれなりにスキップを多用するのですが、スキップ速度も早く快適だったと思います。
おすすめできる人
・ある程度エロゲ慣れしている人
・胃が痛くなりたい人
・「読ませるシナリオ」を求めている人
・以上のことは関係なく、本作を気になっている全員
まとめ
wa2はクソ長いシナリオですが、主人公に感情移入しやすすぎて気が付いたら時間がたっているような「読ませるシナリオ」のゲームだったと思います。
凄く面白くて夢中でプレイしていましたけど、記憶を消してもう一度プレイはしたくないです。なぜならハラハラしすぎてプレイにすごく疲労感がついてくるから....
6,480円
ここからネタバレ注意
各チャプター感想
-introductory chapter-
正直に言いますと最初のほうはただの青春物のラブコメですごく退屈で、「胃薬ゲーとは聞いていたけど大したこと無いなハナホジ」みたいな感じでした。が、
学園祭の準備のために春樹がかずさの家に泊まっていいることが、放置していたトラベルセットによって雪菜にばれた時の演出から、「このゲームやべえ」って確信しました。
雪菜が春樹に告白するシーンは、初見の時とcodaをプレイした後に見るのとではまるで印象がガラッと変わってしまいますね...もうこのシーンから3人が完全に分裂していたことが分かってしまってつらい。
最初は春樹が浮気してしまったことが一方的に悪いと決めつけていましたが、改めて考えてみると、雪菜の過去のトラウマと春樹とかずさの素直になれない関係が引き起こしてしまった心のすれ違いってだけで、実は誰も悪く無いようにも思えてきます。
もちろん全員が悪いとか、そもそも何をもってして悪いと決めつけているのかとか考えてしまいますけど、wa2はそのような様々な解釈とキャラクターに対する印象の違いが、人によってハッキリと変わってしまうのが非常に面白いと思います。
-closing chapter-
事実上は雪菜編だけど、サブヒロインである3人のシナリオも、icの3人中心のシナリオではないにしろ同程度のクオリティがあって、決して蛇足な仕上がりで無かったのが凄いと思った。
特に千晶には色々と騙されてしまって、初見の時は「この子スゲーいい子じゃん!」とか思っていまして、正直雪菜とかかずさよりも好きでした,,,それがture√でナンデアンナコトニー。
ですがシナリオ自体は非常に面白くて特にラストシーンの千秋が雪菜のコスプレをして届かない恋を歌う場面の雰囲気とCGはとても印象的でした。
他にもクリスマスケーキに名刺をぶっさすお茶目な麻里さんとか、ファミレスで主人公を笑顔で手を振って見送るCGと、小春ちゃんを笑顔で見送った後泣いている雪菜のCGの対比はグッとこみあげてくるものがあったりなど、1枚1枚のCGの出来は素晴らしいと思います。
そして一番「うわああああああああああ」ってなったシーンは、やっぱり選択肢の「コンサートに行く」だと思います。
もしあそこでコンサートに行っていたらまた違った未来が待っていたのかななどと想像するのが非常に楽しい、てかそのIF√が欲しかった...
-coda-
まずタイトルがcodaっていうのがセンスありますよね。一発でかずさ関連のシナリオだとわかるようなネーミングで非常に好きです。
codaに関してはもうどのシーンも重要なシーンすぎて、とても僕の語彙力と記憶力では語り切れないほど魅力が詰まったストーリーだと思います。
かずさや雪菜だけでなく、主人公が今までかかわってきたキャラクターたちとの繋がりが生きてくる展開は非常に感動しました。
かずさtureはラストの追加公演に行かずに雪菜を探しに行った時はマジで腹が立ちました、結局後で主人公が保険をかけていたことを知ってほっとしましたけど、あの場面で雪菜のかまってちゃん特有の黒い感情を見せてくるのは正直反則だと思います。
(正直このシーンがこのゲーム屈指の胃薬服用推奨シーンだと思う。)
そして雪菜tureですが、もうED入ったときは「おめでとー!!!」って感じと「やっとかよ...」みたいなホッとするような安心感でぐちゃぐちゃでした。
そしてエンドロールの”時の魔法”の作詞、作曲、歌の担当者の名前が再作スタッフさんの名前じゃなくて、冬馬かずさ、北原春樹、小木曽雪菜になっているのをみて泣きそうになるとこまでワンセット。
他にも様々な名シーンがたくさんありましたが、ここまで感動できる作品になっているのはic、cc共に非常に丁寧に作られているからであって、codaで積み上げてきたキャラとプレイヤーの感情そのものを一気に開放していく感覚は、まさにグランドフィナーレという言葉がふさわしいルートだと思いました。
まとめ
凄く評価が持ち上げられているゲームだと思われる方もいるでしょうが、WA2に至っては仕方がないとしか言いようがないと思います。本当に凄い作品なので(語彙不足)。
この作品をやってしばらくは感動の余韻が抜けないし、長いストーリーとだけあっていざ終わったとなると寂しくて物足りない感じになってしまうんですよ。
僕は余韻が抜けなすぎるので、初心者ですがギターを始めまして今、white albumを練習しています。めっちゃむずいですwww春樹君下手じゃなかったんやなって....
ただ主人公が癖のある性格をしているので合わない人にはとことん合わない作品でもあるのかな?
とりあえず、体験版にでも手を出してみてはいかがでしょうか?