過去の自分とLINE|月の彼方で会いましょう 感想

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*注:未プレイの方向けに最初はネタバレなし、途中からネタバレありの感想です。

 

月の彼方で会いましょう あらすじ

――2年生の夏、青春の日々。彼女たちは誰よりも気まぐれで、誰よりも謎めいていて、そして誰よりも美しかった。初めての恋。甘酸っぱい思い出。心残りと共に、夏の日は過ぎ去っていった。――25歳の夏。気がつけば、サラリーマンになっていた。空を見上げながら、ふと夢のような日々のことを思い返す。懐かしむように、かつて学生時代に使っていたスマートフォンを起動する。メッセージアプリを起動すると、自分自身にメッセージを送ってみる。「後悔するぞ」かつての自分に向けた、届くはずのない想い。しかし、スマホは振動を返した。「いきなりなんだよ?」それは、過去の自分自身からのメッセージだった……。

OP映像


月の彼方で逢いましょう op「月の彼方で逢いましょう」歌詞あり

 

OPはエロゲソング界ではおなじみDucaさんが歌う疾走ナンバー。

Ducaさんの歌唱力が存分に生かされている点も素晴らしいのですが、この曲は打ち込みの音が重圧で素晴らしい!

エロゲソングは全体的に打ち込みの音源がしょぼくて(特にドラム)歌手や曲の素晴らしくてもそれをぶち壊す酷さがあるのでなんとかしてほしい...

サビからテンポアップする展開と、Ducaさんの歌い終わりにかすれるような歌い方の相性は相変わらずバッチリでいい歌だと思う。

あと最近はあまり見かけなかったアニソン、エロゲソング 特有のハードロックばりの激臭ギターソロが入っている点もいい...

 

全体的な感想

 

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私は普段新作エロゲをあまりプレイしない傾向があるのですが、「月の彼方で会いましょう」という名作臭ただようタイトルと、過去の自分とLINEで連絡を取れるという斬新なアイデアに惹かれてしっかり初回盤を予約してプレイしました。

tone work'sさんの作品は初めてだったのですが最初に思ったことは、キャラや背景の絵の書き方がすごく綺麗で独特の世界観を作っていると感じました。

処女作の初恋1/1のCGと今作を比較すると絵師さんの成長具合がすごすぎて楽しいです(笑)、そのうち過去作もプレイしていきたいと思います。

 

肝心のざっくりとした感想なのですが、、、

「2019年発売のベストエロゲ上位3位」には絶対に入るほどの入るほどの面白く、シナリオ、BGM、CGどれを取っても非常にクオリティが高い作品でした。

 

近年の【萌えゲー<シナリオゲー】にじわじわとなりつつあるエロゲ業界(個人の印象)なかで出てきた、2000年代前半の「シナリオで見せるエロゲ」と2010年代付近の「洗礼された萌え」がいいさじ加減で合わさっている作品で非常に幅広く楽しめる作品だったと思います。

 

シナリオは学生編と社会人編で別れており、学生編での青い主人公から社会人編での大人になってからの成長具合などを比較するのが面白いです。

コンセプトである「過去と連絡を取れるとしたらどうする?」ですが実は全部のルート(7ルート)でこの展開になるわけではなく過去と連絡を取ることが中心のルートは実は半分ぐらいしかありません。

ですが、過去スマホを使うルート出なくても「後悔」にスポットライトが当たっているシナリオで、自分がやり残したことや諦めた夢、理想がある人には心に響くシナリオだったと感じました。

 

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BGMやCGについてですが、CG立ち絵に関しては先ほども記述した通りかなり気合が入っていて綺麗で安定していました、立ち絵の表情差分が非常に豊かでキャラが動いていなくても感情が表情から読み取れるようになっていて非常に物語に入り込みやすかったです。

しかも立ち絵だけでなくCGにもしっかりと差分を用意する徹底っぷりは気合がかなり気合が入っていると感じます。

背景CGも江ノ島や函館など実際に存在する風景を背景にしており、地元民の方にはたまらないと思います。

 

江の島

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物語の中でたびたび登場することになる灯台も実際にあるっぽい。

 

函館 湯川の足湯

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あるヒロインの出身地が函館のため主人公が足を運ぶことになる。

 

BGMはOPの感想の通り打ち込みの音源がいい感じでストーリーを引き立たせています(特にピアノ中心の曲)、初回盤にはサウンドトラックがついているので作業用BGMとしてこれから活躍してもらう予定です。

各種EDごとに違う歌が用意されているので、ボーカル曲が8曲もあるという気合の入れよう......ここまで徹底的に作っている作品はなかなかないです。

 

キャラは7人攻略可能で攻略時間は普通のフルプライスものよりも少し長い30時間~40時間が平均だと思います。

少し長いシナリオではあるものの、話の展開やセリフのテンポがよく非常に読みやすい文章になっているので長く感じることは無くむしろ短く感じました。

 

『月の彼方で会いましょう』プレイ感想 まとめ

2019年新作の中では今のところぶっちぎりで面白い作品だと思います。

考察要素がところどころ入っていたり、背景が実際にある景色を使っているので聖地巡礼したくなるなどエロゲーマーのツボを刺激してくる作品でした。

特にシナリオが素晴らしく、「後悔」という誰でも持っている感情に各ルートの主人公やヒロインたちが、それぞれの「後悔」とどう向き合っていくのかという話は非常に共感を生みやすく感動できます。

 

非常にクオリティが高いため、まだプレイしたことのないエロゲーマーの方やエロゲ初心者の方にも幅広くお勧めできる素晴らしい作品でした。

まだプレイしたことのない人はぜひプレイしてほしいです!

 

 

 

 

*ここからネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 月の彼方で会いましょう 各ルート感想

 

 

ここからは自分の各ルートの感想を攻略順にザックリと書いていこうと思います。

 

 

聖衣良√

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最初に攻略したヒロインがこの子だったために「あれ?スマホ使ってなくね?」ってなりました(笑)。

主人公が小説家の夢をあきらめた中で、自分の妹分である聖衣良がファッションデザイナーの夢に向かって頑張っている姿をみてコンプレックスを感じる話で、ほかのルートと比べて比較的多くの人が経験してきた「挫折」という「後悔」を書いた話でした。

「挫折」こそ過去の自分に「もっとこうしろ」と忠告したくなるような話なのにスマホに頼らずに自分の夢を再び思い出す展開は自分の思っているストーリーとはかけ離れていて、いい意味で「裏切られた」と感じたルートでした。

自分はロリコンではないので学生編の聖衣良はあまり萌えなかったのですが、アフター編のJK聖衣良はなんだか妹の成長を見ているような気分で萌えというよりかは兄や親視点で見てしまいました(笑)

よく言葉を間違えて主人公に直されていた聖衣良がアフター編では主人公も知らないような言葉や漢字を使い始めたのには感激です、、こういう数年後のキャラの成長を感じられる演出めっちゃ大好きです。(というか学生主人公より社会人主人公のほうがすき)

ほかの方の感想を拝見させていただいたのですが、その中で聖衣良が「回鍋肉を作る」というセリフがあり主人公がそれに対して「ホイコーローって元買ってきたのか?」と返す場面があると指摘されていた方がいましたが、このルートの醍醐味はまさにこの会話に凝縮されていると感じました。

何のことかわからない方は「回鍋肉」という漢字に注目すれば聖衣良の成長を感じられると思います。

同時にこれに気が付けない自分もまだまだ理解が足りないなと思いました....

 

きらり√

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きらりさん√はストーリーが~とかいうよりも「きらりさん」というキャラクターの面白さで成り立っていると思います。

こういうグイグイ主人公を引っ張って急にまじめになる系のキャラクターって沢山いそうでなかなかいないですよね。

色気たっぷりなセリフで主人公をからかったりして振り回すさまは、学生編の灯火に振り回される主人公に非常に似ていたので、プレイ中は「髪型似てるしまさかきらりさんって灯火じゃね?」という考えもまじめにしていました(笑)。

話自体は普通ですが主人公との掛け合いが面白いので後日談とかほしいですね~

あと自分の中できらりさんは攻略対象というよりは、主人公に活を入れてくれるイケメンという印象が強いです(笑)

 

雨音√

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メインっぽいけど普通の話だろ~とか思っていたら、まさかのタイトル回収&エンデュミオンの秘密に迫る話でびびった。

ポールグレイの娘ということは割と序盤からわかることなのですが、ここまでエンデュミオン周りの設定が練られているとは思っていなかったので素直にスゲーってなりました。

先進波は実際にあるものらしくSFなどで時間旅行などで使われているものらしいです。

エンデュミオンで過去を改変した先の未来を「月の彼方」と比喩したのはもう素晴らしいというかなんというか、、、普通では絶対にたどり着けないほど遠いところにある場所を月の向こう側に例えるアイデアは、考えた人も思いついたときは「これだ!」って感じだったと想像できます。

キャラ自体も魅力的で学生編の中二病前回の雨音から大人になってからの落ち着いたアダルティな雰囲気の出る大人の女に代わっているのは所見はぐっと来ました人は多いのでは?

 

うぐいす√

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想像以上にヘビィなルートだったぜ......この作品の「過去との連絡」をトップクラスに生かしたルートでした。

「最愛の人の死」という理不尽に対して自分とのつながりを消すという大掛かりな改変をすることによって「死んだ人を蘇らせる」という時間改変の恐ろしさを目の当たりにすることになる怖い話。

うぐいす先輩が死んでからの主人公が徐々に病んでいく描写はほんとに恐ろしくエンデュミオンが過去と連絡できると知った時から毎日「後悔するぞ」と送り続ける主人公の痛々しさが精神的にきつい....

終わり方が安易にうぐいす先輩が復活してそのまま元通り......というわけではなく改変前の記憶をなんとなく持っている二人が思い出の丘で再びひかれあうように再開する展開は「わかっている........!」って思わずガッツポーズ。マジ粋すぎる。

 

岬√

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THE  可愛い(simple  シリーズ)

うぐいす先輩ルートやった後にすぐプレイしたので、口直しとしてちょうどいい感じの激甘イチャラブルートでした。

「お前らこういう白髪ヒロインすこやろ?ん?」感全開でヘドバンしまくりです。

主人公と付き合う前の距離感の浮遊感を出すのがすごくうまくて、まさに少女漫画のような「はよくっつけや!」っていうドキドキ感をたのしめる√でした。

 

霧子√

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こんな35歳いるなら今すぐもらいたいです(真顔)

徐々に2人の距離が近くなっていくのがすごくいい........

霧子さんの乙女ぐあいと主人公の男らしさを堪能するルート。

 

灯火√

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灯火は絶対に最後に攻略すると決めていました。私はケーキのイチゴは最後に食べる派でエロゲも一番好きなタイプは最後に攻略すると決めています。

灯火ルートはやっぱりメインヒロインとだけあってシナリオの展開がほかのルートよりも熱く、最後まで続きが気になりすぎてぶっ通しでプレイしてしまいました。

「学生の頃にもっとこうしておけば....」というありきたりな「後悔」をふんだんに使ったルートだった印象。

最初は過去の自分にもっとこうしろと若干上から目線の主人公が、今の自分にはない行動力を持つ過去の自分を見て自分の夢にもう一度向かってみようとする姿勢の変化は感動しました。

一番好きなシーンはやっぱり最後の同窓会の途中で電波塔からのモールス信号に主人公が気が付いて再会するシーンで、学生時代にうぐいす先輩にした方法をここでとってくるか....!って感じとついに大人灯火と再会か、、ってかんじでプレイ中はもうドキドキしっぱでしたよ。

ただその時にお酒を飲んだ主人公がバイクを運転していたので「飲酒運転やんけ!」って突っ込んでいました(笑)

灯火ルートは灯火の謎に関する情報の明かし方が非常に丁寧に練られていて、ほんとに最終局面で一気に謎がわかるという驚きの連続と、流れるような展開の速さでマジでクリックが止まらなかった。

エンデュミオンの中継役をしていたことと、「わたしがいたことわすれないで」という言葉からほかのルートでも灯火が主人公のことが好きだったことがわかったときは「うわ~泣けるわ~」って感じでしたね、、

そして何よりも声の風音姉さんが役にはまりすぎててビビる、あまり演技臭くなくてほんとに自然体に近いかんじでホントにはまりすぎてて怖い。

 

まとめ

記述してあると通り、全体的なクオリティが非常に高い作品で、

名作と言ってもいいんじゃないでしょうか。

 

tone work'sさんの作品はこれが初めてだったのですが、めちゃくちゃ好きな感じなので今までの過去作とこれからの新作は全部予約してプレイしていきたいなあ、、、