善悪相殺 装甲悪鬼村正 感想

プレイ後の感想

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プレイ後はいろいろ感じるものがあったのですが、まず感じたことは本当に長かったっていうことですね。

プレイ時間多分50時間は超えてますよ....フルプライズのゲーム2,3本のボリュームとかヤバすぎるでしょ。でもプレイ中は次の展開が気になりすぎて時間を忘れてのめり込むようにプレイしていました。長編特有の「飽き」を感じさせない話の展開は流石「魂の作品」と言われているだけあると思います。

僕がこのゲームが凄くて長いと考えられるのはキャラ一人一人の過去をキッチリと書いていてそのキャラの信念や行動理念を読み手に分かるようにしているせいからだと思います。

普通は誰かが悪者で正義がこれを倒してめでたしめでたしなのですが、このゲームは悪者サイドの正義も綿密に書いていることによって、お互いがお互いの正義の戦いをしていることが分かります。そしてプレイヤーの共感できる正義によって話の見方や考え方が変わりその考え方に別の視点を与えられるので自分の考えに新しい価値観を持つことが出来ると思いました。

 

善悪相殺

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1人の善は1人の悪であり1人の悪は1人の善であり、善を持って1人の悪を殺してもそれは他人の善であり、正義を殺しているのは悪である。善を持って悪を殺すのが正義なら正義は悪でありそれは狂気なのである。なので争いをなくするには自分の正義で悪を殺すなら自分の正義を持って愛するものを殺さなくてはいけない。

頭ではわかるのですが正直どうしようもない現実、でもそれが争いをなくすためのものであることを理解して苦悩し立ち向かう主人公の心情の変化が面白かったです。

それでも正義はあると言う一条やそれでも復習しなければならない大鳥大尉は感情移入しやすかったと思います。

この「それでも」っていう現実に抗うわがままが凄い人間臭くて凄くよくて心理は確かに善悪相殺なのかもしれないけど自分の正義を信じて行動する人物は輝いていて嫌いになれませんでした。

 

好きなシーン

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全ての使命を終えて善悪相殺の掟で殺してきた人の責任を正面から受け止め主人公は生きる意味や価値を見失うのですが、村正とのエ〇チにより自分が価値がなくて生きる意味もないとか言いつつ快楽に耽溺している自分自身に絶望し受け入れます。

僕はこの一見すると馬鹿馬鹿しいシーンが凄い好きです、まあ主人公と村正の絡みが好きっていうのもあるんですけど無価値や無意味に絶望してそれを受け入れる己の弱さに気がついて受け入れる人間臭さがいい。

またそういう生き方もいいと思うのですがそれでも悪鬼村正として生きていくという選択の重みと救われない不条理がこのシーンによって重みを増すスパイスになっていているとも思いました。

 

 

まとめ

血生臭い世界観と濃いキャラーがマッチして長いストーリーにもかかわらず飽きを感じさせない演出は「凄い」の一言でしか言い表す事が出来ないと思います。

キャラクターも生き生きとしていて見ていて嫌いになれるキャラはとことん嫌いに好きなキャラはとことん好きになれるぐらいの濃い描写も特徴だと思います。ちなみに僕の好きなキャラは三世村正です。クッソ可愛いので主人公が新しい性癖に目覚めそうになるのも頷けます。

べた褒めなのですが欠点もあってちょっと「善悪相殺」の疑問を投げかけ過ぎているかなと思います。最初の英雄編でもうプレイヤー側は善悪相殺の意味を理解しているのにしつこいぐらい毎回主人公が悩み始めるのでまたかよって感じることはありました。

あと光の目的である父親を取り戻すことの重みがいまいち描写不足かなーと思います。意味はわかるのですが共感はちょっとしずらかったのでそこが惜しかったです。

世界観はファンタジーだけどシナリオは現実的かつ血生臭いという独特な雰囲気がマッチしてめっちゃ濃いです。これほど濃厚かつ重圧なエロゲーはなかなかないと思います。

まだプレイしたことのない人は体験版をプレイしてみることをお勧めします、雰囲気だけでも感じてそこからこの作品の魅力を感じとってプレイしてみて欲しいです。