【感想】伏線だらけのクリスマス|アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-
『アメイジング・グレイス』 評価
90点
理由:面白すぎて2日間、ぶっ続けでプレイしてた。
2018年の比較的新しい作品でありながら、昔のエロゲを彷彿とさせる「超シナリオ重視ゲー」で、ありとあらゆる場所に張り巡らされた伏線の数々を次々と回収していく非常に練られたシナリオ構成、かわいいキャラ、クリスマスの特別感とマッチした独特の世界観、すべてのクオリティが高水準で「飽きが来ない」エロゲでした。
あえて欠点を上げるのであれば、キャラのアニメーションがチープであること、劇中で起こる事件に対する、主人公たちの危機感というか焦りが足りなく、感情移入がしにくかったこと。
系統としては「車輪の国、向日葵の少女」や「サクラノ詩」などのシナリオ重視なゲームで、それらが好きな方は絶対ハマると思う。
『アメイジング・グレイス』ってどんなゲーム?
きゃべつそふとが2018年に発売した2作品目。
1作品目とはスタッフの中身が違い、「Lump of Sugar」というメーカーで活躍していたスタッフが集まって制作されている。
ストーリーの中身を、一言で言い表すならば「ループ物」。
オーロラと呼ばれている巨大な壁に囲まれた閉鎖的な町で、記憶喪失の主人公が12月25日に起こる「アポカリプス」と呼ばれる、町が破壊される事件を食い止めるため世界を周回するお話。
プレイ時間は約25時間ほど、スキップ速度やシステム回りに不備はなく快適でした。
『アメイジング・グレイス』 シナリオ感想
感想としては、ノベルゲームならではの魅力が詰まった名作だと思っています。
「車輪の国、向日葵の少女」のような「どんでん返し」の衝撃の展開が3回ぐらいあって、改めて「伏線」の面白さに気が付ける作品でした。
それと同時に「無駄なシーンが無かった作品」だとも感じています。
2日間続けてプレイして一気に終わらせた...終わってしまったのですが、プレイ中は恐ろしいほど飽きが来なかったのです。
今、振り返ってみるとエロゲでありがちな「中だるみ」が全くといっていいほどなく、ダラダラとした日常会話はスパッと切り上げていたり、反対に何気ないシーンに含みを持たせる演出が、飽きをなくしていたのだなと。
要するに究極的にテンポが良い。
「どんでん返し」の衝撃がこのゲームで一番面白いところで、「壁画」のシーンは自分が美術系に詳しくなくてもわかる説明、予想できない角度からの種明かしで衝撃でしたし、無文字文化に関してはガツンと殴られた感じです。
まさに「固定概念だな、森田」というセリフがぴったり。
ただキリエの「破壊の美学」を信仰する演技に関しては、ちょっと無理矢理すぎるかな~と思いました。
全部を知った後で見ると見方が変わるCG
それと「ありえないけどありえそうな世界観」これがまた素晴らしい。
実在している絵画がストーリーに絡んでいたり、町全体の価値観を操作していることで、普通疑問に思うことを町の人に起こさせない管理社会など、妙なリアリティのある世界がこの作品の魅力の1つだと思います。
キャラクターの掘り下げも十分で、キリエのセリフ道理「必要ないキャストはいない」の言葉道理、正直モブだと思っていた店長でさえ重要な役回りが与えられていたりと、いて意味のないキャラが作られていないのもすごいなあと感じる1つの要因です。
『アメイジング・グレイス』 まとめ
ここまで練られたシナリオゲーは本当に久しぶりで、プレイできたことがもう素直にうれしい。
「車輪の国」をプレイしてますますエロゲに入り込んだ自分なので、同じくどんでん返しのプレイヤーを裏切っていく本作はプレイしててたまらなく楽しかった。
もちろんそれだけではなく、ユネが初めて「メリークリスマス」とシュウに言うシーンが、「そういえばクリスマスだった」と本来なら祝うべき日であるのに祝えない寂しさなどの感情が渦巻きあってて非常に好きです。
久しぶりに熱中できた、素晴らしい作品でした。